お仕事とそうではないもの。

社会人5年目の仕事で感じたこととそうではないことのメモ代わり。

元上司。ランチ友達。飲み友達。

係長との飲み会記録ブログ。

3月末で繁忙期が一応終わった。
約1か月半と1年で一番長い繁忙期。私にとっては異動して2回目の繁忙期、前の経験を生かしてできるようになったこともあれば、やっぱり失敗して説教を食らったものもある。精神的には少しだけ強くなったような気がする。

繁忙期が終わって一番にしたこと。
それはやっぱり係長を飲みに誘うことである(笑)焼肉とすき焼きととんかつを食べに行きましょうとメールを送った。やっぱり、係長と飲みに行くなら肉である。

久しぶりにお会いした元上司とほんとに他愛ない話で盛り上がった。中身のない話。まったく中身がないのによくこれだけ話すことがあるなと思った。4時間くらい話したけど、全然時間が足りなかった。そしてこれでもかと肉を食らった。美味しかった。
このオトーサンは元上司。でも、私にとってはある意味友達。しょうもない話、愚痴、ゲスな話。係長はいつもンフフフフと笑っているから気付かれにくいけど少々毒舌である。でも、何よりも憎めない楽しい人だと思う。
最近少しだけお子さんの話が出てくるようになったのも、なんだか嬉しかった。昔は本当に仕事の話しかしなかった。
いつもは「私は〜ですよ」と丁寧な係長が、珍しく「俺だって」と言っていて少し驚いた。ああ、この人、自分のことを俺って言うんだな、と思った。たまにタメ語で話されるときゅんとするよね、という同期をあながち笑えないかもしれない。

ひとつ、試したことがある。
一軒めを会計してまだ9時半前。酔いも回りきらない、深夜帯前。
店から一歩外に出るとそれまでどんなに盛り上がっていても、なんとなく静かになるところ、異動するときから変わらない。なんというか、ああ、もう少しこの時間に終わりが来ないように、なんとかできたらいいのに、と寂しい気持ちになる。それはわがままなのだろうかとか。いや、セクハラ?パワハラ?気を遣わせる?とか。思わず考え込む色々なこと。
それをどう言葉にしたらいいのか、果たして言葉にしていいのかすら分からない。何を話していいのか、声をかけていいものか。もどかしい感じ、お互いに手持ち無沙汰。微妙な気遣い、言葉にできないという意思表示。
うーん、どうしようか。声をかけていいものか。でも、こういうときの私の読み取りはきっと間違っていない。この上司の分かりやすさ、私はちゃんと読み取っているはず。前回思った直感は多分誤っていないはずだ。
悩みに悩んで声をかけた。「係長、まだ時間はありますか?日本酒が飲みに行きたいです!」
別に日本酒じゃなくてよかった。コーヒーでも甘いものでもチェーンの居酒屋でも、正直何でもよかった。ただ、なんとなく、私が言うなら日本酒が一番キャラが立ってて笑えるなと思った。もし読み取りが違ったとしても、断るフック、ツッコミしろになるかもなって。
「ありますよ。実はお声掛けしていいか悩んでいたんです」
その一言を聞いたとき、気を遣って言ってくれたのかもしれないけど、正直心底安堵した。そして嬉しかった。ああ、良かった。私は今でもきちんと係長の行間を読み取れていると。
係長に出会ったのは、新卒で入ったばかりの頃。そこから3年同じ部にいて、最後の1年、直属の部下で、そして異動して2年が経った。
同じ部にいて、毎日顔を合わせていても気付かなかったこともたくさんある。例えば、下戸だけど結構飲み会は好きなこととか。ゼロ次回をやりましょう、とか、もう一軒行きましょう、とか、酒飲みのウザ絡みに一番に反応して、なんだかんだで楽しそうに付き合ってくれることとか。

それからまた色んな話をした。でも他愛ないことばかりでほとんど覚えていない。
同期ガー、同期ガー、と私が繰り返すことが、薄っすらとした、でも確実に子供じみた嫉妬だということに、このオトーサンは気付いているんだろうか。良くも悪くも正直者だからな。多分気付いていないだろうし、それを言葉にする気もないが。
「課長は体育会で大変だった」
「課長には、あなたは何もしてないって茶化された」
そんな昔話をしていたものだから、流れで思わず本音が出た。
「だから思ったんですよね。この課長に、年度末までにゼッテーあなたで良かった、って言わせるって」
いつもどおり、お仕事好きですねえ、とでも笑われるかと思いきや。係長はその言葉を笑わなかった。
「あなたはそのガッツが凄いよね。今の部下も前向きだけど、あなたみたいなガッツはないんですよね」
「部下くん、前向きですよね。このあいだ12連勤したって言ってましたよ。チャラく見えますけど」
「うん、真面目だけどチャラいよね。あれは損するよねえ……」
思わず部下に話を逸らした。
正直、その言葉の方がよっぽど凄いな、と思った。元部下に対してしみじみと、茶化すでもおだてるでもなく、「あなたは凄いよね」と言える上司がどれだけいるだろう。
だから、私は伝えた。多分酔いも回っていたから、すらすら言葉が出てきた。
「……係長の方が凄いですよね。係長のように、当たり前のことを自分の手数が増えたとしても、ズルもせず、まっすぐ、一番正攻法に、相手のことを考えてできる人はいないと思う。誰だって、自分の利益を考えますよ。早く帰りたいとか休みたいとか」
「いや私もそうですけど」
「まあ、そうかもしれませんけど(笑)私は、係長みたいな係長になりたいです。まだまだ、できないことも多いし、なんで私が今の仕事なんだろうと思うこともあるけれど、でも、係長と課長と一緒に仕事をした1年間に間違いはなかったから、そうなりたい。……って上から目線ですけどね」
ああ、なんてピュアで青いのだろうと思った。でも、私が係長のことを好きなのは、面白いからでもなく(いや、もちろん面白いんだけど)、優しいからでもなく(いや、毒舌とはいえ優しいのももちろんだけど)、一番は恐らくこういう話ができるからだと思う。
何が凄いのか、何が足りないのか。
今の仕事でどうしたいのか。どうしていきたいのか。
前向きでまっすぐ。一生懸命。自分の言葉を変に茶化したり、おだてたりしないで受け止めてくれる。そして話してくれる。
だから、この元上司に会うとやる気をもらう。このまっすぐな上司が頑張ってるのなら、私ももう少し頑張ろうと思う。この笑い上戸の上司がその愛嬌で部下の心を掴んでいるのなら、私もこの組織で、周りから頼りにしてもらえる「先輩」(この4月から職層がひとつ上がったのだ)になりたいと思う。

初めて聞いたこともある。
私は係長と課長の元から異動するとき、心底異動したかったんだけど、一方で人間関係に恵まれていることは理解していたから本当に寂しかった。しかも勤務地も変わり、生活が一変したことにより、しばらく落ち着かなかったのだけど……
実はその時期、毎週のように係長とメールをしていた。最近あったこと面白かったこと、前の部の誰と会ったかということ、トラブルやハプニング。果たしてどちらが先に始めたのか。どちらもわざわざ言うまでもないどうでもいい話題を見つけては、他愛のないメールをしていた。
その頃書いた仕事関係のコラムに、こっそりと元上司たちへの感謝を込めた。一読しても分からないけど、でも、きっと読む人が読めば、これは自分たちのことなのだと気が付くように。
そして初めて知ったのは、そんな子供じみた暗号ゴッコをしていたのが、実は私だけではなかったということだ。
「……実は雑誌のコラムを書きまして。そこに感謝の気持ちをすべて書きましたよ」
「え、つまり2年前ですよね……それ今日初めて聞きましたよ!?」
「……むしろなんで今日言っちゃったんだろうね!?」
あの時期、自分が寂しいのはもちろんだけど、厚かましいことを承知で言えば、きっとこの元上司も寂しいのだろうな、と思った。
じゃなきゃこんな毎週のようにメールは続かないだろう、と。
良いコンビだった、と私が思う気持ちのひとかけらでも、係長も思っていてくれたら嬉しいと、そう思っていた。

帰りながら、次は何の飲み会はなんだろうと話した。多分来月にでもあるだろう、お帰りなさい会か、あるいはふるさとの部の焼肉会か(この部には焼肉大好きな係長がいて、みんなが異動してバラバラになった今でも年に何回か焼肉会をやっている。)もしくは係長ことが大好きな同期を囲む会か。
きっと何かしらの飲み会でお会いすることになるだろう。
だから、元上司だけど、気持ちとしたら友達だなぁと思う。
私はこの人と飲みに行くことが、大学の友達の飲みに行くのと同じように楽しい。
次は何だろうね、誰とだろうね、と笑えること。目上の人として、上司として、気を遣うけど、いやな建前はない。気取らない。その距離感をありがたいと思う。

あ、ひとつだけ係長に謝っておきたいこと。
昨年度末、仕事のカウンターパートである私の同期に異動のご挨拶にいらっしゃって。
おそらく、私にもご挨拶してくださるつもりだったのだろう。お声掛けしてくださろうとしたのに、まさか本当にご異動されるなんて思わなくて、ものっすごい冷たい反応を返してしまった。
「あ、そっすか。ってすごい反応薄かったよね……」と恨み節を説かれた。
すみませんすみません、実はその日は、ともごもご口ごたえをしたけれど、実はその時期、私は毎日のように同期から係長のノロケ話?大好きで、どんなことを言ってもらえて何が嬉しくて……というのを聞いていて、若干同期にジェラシーを感じていて、その日も同期にはわざわざ挨拶にきたことに、子供じみた嫉妬を少しだけ感じていた。
……というのは、ご本人には言わなかったここだけの話。