お仕事とそうではないもの。

社会人5年目の仕事で感じたこととそうではないことのメモ代わり。

奇遇ですね

朝、憂鬱な気持ちで駅から会社に向かって歩いていたら、誰かから声をかけられた。「奇遇ですね」、と。
朝からやけにテンションの高い人だなぁ、と思って振り向いたら、それが係長だった。「びっくりしたー!」と思わずタメ口で本音が出てしまった。
その前の日まで係長とは二日連続、飲み会でお会いしていた。その翌日だったからお声かけくださったのかもしれない。
朝から、憂鬱な通勤路に不似合いなほど冗談を言い、笑いながら出勤した。
私はそれを凄いことだ、珍しいことだな、と思った。普通、朝から上司に会っても声掛けない。絶対に気付かないフリをすると思う。それはお互いに気を遣うから。何の話題を話したらいいか、相手は自分に話しかけられて気を遣っているんじゃないか、とか。それは疲れるから、わざわざ声なんてかけないのだ。
でも、係長に対してそういう気遣い、いや気疲れと言った方がいいかもしれない、そういう気持ちは全くない。そこは自然体の私で、あまり深く考えることなく言葉が出てくる。だから、全くストレスじゃない。

そして、この上司だって、私に声をかけなくても良かったわけで。あ、あんまり気遣いとかないんだろうな(良い意味で)と思った。
もちろん、私も直属の部下だった頃はもう少し気を遣っていただろうから、異動して1年半の間で少しずつ変わってきた部分なのかもしれない。

そして、さらに奇遇だったのは、歩いていたら元課長もその前を歩いていた(笑)
「あー見覚えのある後ろ姿ですね(笑)」「奇遇ですねえ(笑)」と係長と憂鬱な通勤路には不釣り合いなほど一通り盛り上がった。よほど声をかけようかと思ったけど、足早に歩く課長には追いつけなくて、結局お声かけはできなかった。
お声かけしたら喜んでくれたかな。朝から気まずいと思われたかな。課長はどちらだろうか、とふと思った。

この日のお昼、食堂で並んでいたら、また係長をお見かけした。実はこの日に限らず、私は係長をよくお見かけするのだけど、いつも声はかけないようにしていた。何となく気まずいような、わざわざ声をかけなくてもいいんじゃないかという気持ちがあった。忙しいかもしれないし、迷惑かもしれないし。
でも、朝の件があったから声をかけてもいいかもしれないと思った。お返しだ、じゃないけれど。
だから、こっそりと前の席に座った。そしてかけた言葉はもちろん、「奇遇ですね(笑)」
それに対して係長は「ああああーーー!」と一通り驚かれた後、「奇遇ですね(笑)」とお返しされた。
「いやー、よく会いますね。気が合いますね」
もしかしたら私にとっては元上司であり、そして会社では貴重な友達なのかもしれない、とふと思った。
思わずそう言ってしまったのは、そんな思いがあったからかもしれない。

今週はよく係長にお会いした。そのたび話すのは相変わらず「仕事が好きですね」から始まる中身のない応酬がほとんど。でも、それが楽しいのだ。もう何十回と何百回と話した、そのお約束のやり取りにほっとするのだ。
ああ、私、この係長のことが人として好きだなー、改めて思った1週間だった。
この会社に係長がいてくれて本当に良かった。私が係長の部下になれて良かった。
つまらなくて苦しい仕事でも、係長に会ってしょうもないことを言い合えると、少しだけ救われる。心がぽかぽかする。

とある日の飲み会で、元課長に驚かれたことがある。私と係長は、出張など長い時間をともちすることがあってもまずお互いのことを話さない。真面目な仕事の話ばかりしていたと思う。
「プライベートのこととか話しませんよね。係長がポケモンの話ししてて、あ、お子さんがいらっしゃるからだー!って思ったことはありますけど」という私の言葉にさぞかし驚かれていた。「昔、出張中にご飯事情で盛り上がったことはありますけどね」と係長は続けられたけど、でもそうなのだ。本当にそこは未だにほぼ絶対的に踏み込まない。
それがきっといいんだと思う。
何も知らないし知ろうともしない。
うすーい表面的なお付き合いだけど、話しているとなんか嬉しい。このなんか嬉しい、っていうのが良い。踏み込みすぎず浅すぎず、色気がなくて、政治的な匂いがせず、どこか子供っぽい。そこがいい。

ふたりは良いコンビだね、と言ってもらえると嬉しい。
私と係長、ほんとに良いコンビだと思う。手前味噌だけど本当に。この1週間で個人的には改めてそう思った。私たちはコミュニケーションの取り方が独特で、この関係性だから通じる言葉遣いがあることを改めて感じた。
感情豊かな言葉遊び。それが通じることへの安心感。ボケとツッコミ的な。仕事で普段使う言葉遣いとは随分違う。
一緒にいると笑って場が明るくなる、ような気もする。
でも、そこまで至ったのは、毎朝丁寧に報連相して(誰かの言葉を借りれば「マジ報連相っす」)、相手のことを思いやる仕事を一生懸命してきたからだと思う。そんな毎日があったから今がある。
係長と一緒に仕事をしていた頃のように仕事ができればほとんど問題は解決できるのになぁ。朝5分間の情報共有、お互いに今日一日で何をどこまでやるかを決めて、大変な時にはお互いサポートする。
今の仕事もそうやって進めていければいいのにな、と改めて思った。