お仕事とそうではないもの。

社会人5年目の仕事で感じたこととそうではないことのメモ代わり。

「思い」を伝える。

久しぶりに係長からメールをもらった。
久しぶりと言っても1か月ぶりくらい。
前の部署でお世話になった方が退職されるらしい、私の後任のお姉様がその件で係長の元を訪ねたと書いてあった。
そして、もう一件。このたび、とある事務について、各カンパニーにアンケート調査を実施することになりました。
参考送付しますので、元経験者として、お手柔らかなご意見を……いやいや、忌憚なきご意見を頂戴できれば幸いです。そう書いてあった。

各カンパニーにアンケート調査!それって絶対に炎上するやつじゃん!このオトーサン、さっすがだなー……ほんと、火の粉を振り払いながら炎上するよなぁ。。
……という感想は置いておいて。
とにかく、ああ、係長らしいなぁと思った。
この人は、本当に現場の声を大切にする。数字ではなくて、気持ちを大切にする。言葉を大事にする。寄り添……わないときもあるにせよ、まずはしっかりと受け止める。否定しないで、全部聞く。係長らしいなぁ。
こういう、愚直な仕事の仕方、私はとても好きなのだ。

せっかく、意見を申し上げる機会をくださったし、本来業務にゆとりもあったこともあり、一生懸命、回答を考えてみた。
係長からいただいた、各カンパニーにまいたという回答用紙。なるほど、事務手続きを作る側の人たちは、こういう風に仕事のカテゴリー分けをしているだろうなぁと思った。
せっかくだから、現場の視点、現場の状況が少しでも伝わるような書き方をしよう。
いただいた見方は確かに大事。
でもそのカテゴリーの分け方だとこぼれ落ちる課題があるのも事実。
だから、あえて視点を変えてみる。
その事務手続きを3つのプロセスに分け、それぞれの段階でどういったことが起きているのか。そして私は担当者として、どういった点が問題だと感じてきたのか。どうして、どのような点を改善したいと言ってきたのか。
そういったことを文章で丁寧に書き出した。
私が今、もし係長の部下だったとしたら。仕事で相対できるとしたら。この問題をどのようにまとめて報告しただろうか。
そんなことを考えながら、回答を作った。
そして、謝罪の言葉とともに、お返しした。長々とすみません、と。
きっとここまでの回答は求められていらっしゃらなかったと思う。私だって、他の上司からのメールだったら、恐らく思ってもいないお世辞を書いてお茶を濁したと思う。いやいや、ご意見なんてございませんよ。でも強いて言えば……なんて書いていたかもしれない。
でも、係長だからこそ、本気の思いを伝えたかった。
おそらく、各カンパニーから上がってくる回答には、ある程度答える責務があるだろう。相手から声を聞くというのはそういうことだ。興味本位というわけにはいかない。
でも、私はただの第三者。私の回答に答える義務はない。
だからこそ、なるべく現場の生の声を具体的に届けたかった。担当者がお上様に提出するのとは違う、ぶっちゃけたところを伝えたかった。
いつもの雑談だったらきっと、笑って流してしまうような話。仕事のスタイルでなら、真面目に、本気に、これは今の私の本来業務ではないけれど、最も適切にコミュニケーションが取れるような気がした。
きっと、係長なら、私が本気でぶつかったところに、何かしら気が付いてくれる。その気付きを大切にしてくれる。そして、良くすることに活かしてくる。そこは信頼している。

後日、お礼をいただいた。あなたからの回答は、おそらく最も長文だろうし、きっとクオリティも高いものと思います。そんなことが書かれていた。
長々とマジレスして、気を遣わせてしまったかな。申し訳なさが、ほんの少し。
ああ、私の「思い」はちゃんと伝わっている。そんな嬉しさが、やっぱり少し。
でも、後者の方が強いかな。多分、何かしら伝わったのではないかと思う。
わざわざ、携帯あてに仕事の時間外に「取り急ぎのお礼です」なんてメールをくださった。
別に送らなくてもいいメールなのだ。本当に「取り急ぎのお礼」だけの意味ならば、職場メールでもよかったはずだ。
わざわざ、携帯あてにくださった。そうまでして返信しないといけないと思わせる、何かを伝えられたんじゃないかな。そう思った。
あるいは、もしかしたらお疲れなのかもしれない。少しだけ、そうも思った。
私もたまに、1か月に一回くらい、係長にメールをしたくなるときがある。だいたい仕事のやる気をひどく失っているとき。別に特別何がしたいでもなくて、係長にちょっかい出して、ふとした言葉に元気付けられたいって思う。
会社に自分のことを分かってくれる人がいる、自分の言葉が伝わっている人がいる、って思えるのはすごく精神衛生上ありがたいことで。多分、そういう上司がたくさんいるわけではないことを、私はきちんと分かっていて、だからこそ「仕事が嫌い!」で盛り上がれる上司のことを、特別なんだと自覚している。
それを改めて確認して、「昔そんな上司がいたんだよね」と関係性を過去のものにしたくない、今の関係を更新していきたいと思うときがあるのだと思う。
同期に愚痴を言うのともちょっと違う。
友人、あるいは恋人に対する安心感とも違う。
信頼できる「上司」、目的意識の共有化を図れる人がいてくれるという安心感。一番近いと思ったのは「メンター」という言葉かな。
しかし、あのオトーサンが私みたいにそんな感情的なことを思うとは到底思えない。単に真面目な方だから、職場でお礼をする暇もなかったから携帯にくれたんだろうけど……でも、なんとなく、「伝わる」と思うからこそ思う。
私がこう言ってもらえたら嬉しい、という感覚と近いもの感覚をお持ちだからこそ、伝わるのだと思う。だからこそ、そこは一貫として、内容はもちろんだけど、「思い」を伝えようと思った。
きっと色々と大変なんだろうけど……でもその事務手続きを、もっと良くしたいと思っている人は、係長だけじゃないから。仕事が大嫌いだけど、前向きに頑張ろうって思ってるポンコツな元部下もいますから。あなたの味方、あなたのことを尊敬する部下だっているんですよ!
記載した内容はもちろんだけど、そんな気持ちを少しでもお伝えできれば、嬉しいなと思う。

異動して、もう1年と4か月。
私と係長が上司部下で仕事をしていた期間よりも、既に長い。
仕事で真面目な話をしていた期間よりも、しょうもない雑談をしている時間の方が、長くなってしまった。
そんななかで、今回の回答作成は、本来業務でないにせよ、久しぶりのお仕事モードだった。
まっすぐ、熱い気持ちでボールを投げた。
ただただ、それが楽しかった。
係長はそれをきちんと受け止めて、さらに前にボールを投げてくださった。それが、なんていうのかなぁ、爽快だった。私の投げた勢いを打ち消すことなく、もっともっと、私ひとりでは投げられないくらい遠くへ、ボールを投げてくださる。私はそれにワクワクしてしまう。それが楽しい。ああ、仕事はこうでなくっちゃ。
係長に言ったことがないけれど、思っていることがある。
私と係長って、本当に超が付くくらいバカ真面目だし、申し訳ないけど要領悪いし、「仕事なんて嫌いです!」って言いながら責任感だけはあるから無駄に仕事を増やすし、判断も苦手で、色んなことに時間がかかる。それに私に至っては係長の十分の一のコミュ力もないですけど……
でも、二人揃ったら絶対楽しいし、後ろ向きなことを言いながら、絶対死ぬほど前向き。お互いに責任感を持って、もっと良くしようと一生懸命だって分かってる。一言だって、そんなことは言わない。言わないけど、ちょっとした言葉で分かる。これを良くしたい、こうしたい……ふとしたときに漏れてくる、そういう言葉で、十分伝わってる。
だから、「仕事なんて嫌いだ!大嫌いだ!」って口では思い切り言い切って、周りから苦笑されるくらい笑いながら、本気で仕事に打ち込める。
これって本当に、「最強コンビ」じゃありませんか?

絶対口にはしないけど、久しぶりに、そんな言葉が思い浮かんだ。