お仕事とそうではないもの。

社会人5年目の仕事で感じたこととそうではないことのメモ代わり。

知事の世界(東国原英夫)

知事の世界 (幻冬舎新書)

知事の世界 (幻冬舎新書)


東国原英夫元宮崎県知事が、自らの任期を1年半過ぎた時節に書き上げた著書。

宮崎県知事へ立候補するまでの足跡、自らのマニフェストに込めた思い、実際に知事になってからの仕事の進め方について、宮崎県という地方のあり方を踏まえながら触れている。

地方交付税交付金の話、法定受託事務自治事務のバランス、指名競争入札一般競争入札をめぐる地方自治体の方針、また人口減少や都市と地方の格差等、地方をめぐる行政の課題について、大変分かりやすく述べられている。

地方自治体は私たちの身近に空気のように、当たり前に存在するけど、実は何をやっているのか分かりにくい。
特に普段から接する機会の多い基礎自治体ではなく、広域自治体都道府県は一体どのような仕事をしているのか。
こうした「当たり前に存在こそするけど、意外と遠い」都道府県について、タレント知事という視点から読み解いた本としては良書ではないかと思う。

ただ、東国原元知事の業績評価の面から読むとなると手放しで評価はできない。
そもそも、自治体の首長、またはそれに準ずる人たちが書いた本は少なからずあるけれど、当然のことながら、その多くが業績のアピールであり、あるいは実行できない言い訳のため、それを鵜呑みにして良いかは疑問。
本書においても、最後にマニフェストとは夢を見せるものであり、解釈の余地が残るからこそ、必ずしも文言どおりに達成できない、ただ高い目標を定めることが、モチベーションを保つためにも大切である、という趣旨のことが書かれている。
その考え方は理解できないことは無いし、庁内には通る理屈かもしれないが、果たして県民、国民に言うべき内容なのかは疑問だった。最後に「言い訳」をもってくることで、一気に説得力が無くなる。

ただ、地方自治体、広域自治体とは何をする人ぞ、を知る取っ掛かりとしては良いと思う。
特に、知事のトップセールスで「宮崎県といえばマンゴー、地鶏、宮崎牛」と猛アピールした点や、県庁舎を観光客に解放した点など、広域自治体が観光振興や農業振興などにおいて、基礎自治体以上にブランドの創出、都市への売出しを担っていることが分かり大変面白く読めた。

行政について勉強を始める人や、公務員を目指している人には良いのでは。
長が変わるとバタバタする地方自治体の姿がそこにある一方で、長次第でこんなにワクワクする前向きな仕事をする人たちなのだということも、本書からは読み取れるように思う。