お仕事とそうではないもの。

社会人5年目の仕事で感じたこととそうではないことのメモ代わり。

自分にできること。

私はこの4月に今の職場に異動してきた。

同じカンパニーに配属された同期たちの多くが、3年目のタイミングで異動した一方で、4年目に、一歩遅れての異動。

ほぼ運で配属されただろう、ふるさととなる初めての部署を飛び出て、今度は一応誰かに評価された上でのふたつ目の配属先ということで、多くの不安があった。
でも一方で、多少の期待と、ほんの少しの自信もあって、恐らく私は今の部署に来たことだろうと思う。

3月は異動が本当に寂しかった。

当時、上司から異動内示をもらった後に、直属の課長から呼び出されて、異動先について説明を受けた。
次にどこの係に配属になり、そしてどんな仕事を担当するのか。

今度は人事系の仕事で、新規事業の立ち上げ。それは次の4月からすぐに始まるらしいということ。
私が、その担当をやるということ。

その時点で、既に詳細まで決まっていた。
そして課長は、いつもの苦笑いで(いつもどこか苦笑いしたような笑顔だった)、続けてくれた。

きっと大変だと思う。
今みたいに、一緒に夜遅くまで残って、相談に乗ってくれる係長もいないと思う。
寂しくなるし、つらくなるかもしれない。
でも、見ててくれる人は必ずいるから。だから腐らずに頑張って。
確かに最初が本社の配属だったから、次は人事ローテーションでブランチに出す、そういう人はたくさんいる。
でもあなたは、そのブランチでやるべきことがあって、それをやらせるために、指名で異動が決まったんだから。
俺はもう何も出来ないけど、俺だって見てるし、飲み会で話はいっぱい聞くからさ……
だから、頑張って。

そして私はその場で……大いに泣きました(笑)ボロボロと涙をこぼして。係長が思わず打合せテーブルを覗き込んでくるほど、冗談抜きに号泣した。
その話の内容がどうということではなくて、わざわざ課長が、別に言わなくても良いだろうに、わざわざ私を、本社に残れずに若干落ち込み投げやりになっていた私を呼び出して、心配して、話をしてくれた……その配慮が嬉しかった。
話の内容の真偽はどうでも良い。
ただ、その心遣いが嬉しかった。

その後、今度は私の係長を呼び出して、やはり同じように説明をしてくれたらしい。
係長はツテを使って、私の異動先の内示表をすぐに取り寄せてくれたし、私の次の課長と係長が誰なのかを一緒に探してくれた。
更に私の前に座っていたおじいちゃんは、その係長を知っていると、すぐに私を紹介しに連れて行ってくれた。

年度末でクソ忙しい中、私のために時間を使ってくれることが有り難かった。
そして私は、その上司たちの心遣いにまた泣いた。
そこから異動する日まで、毎日のように泣いていた。

……そんな情緒的なエピソードは置いておいても。

3年間、部署の総務担当から事業担当まで任せてもらえて、ほぼなんでも分かる状況だったこと等、正直かなり動きやすい状態だったのも間違いない。
もっといえば、朝の出勤からお昼ごはん、退勤して夕ごはん、あるいは飲み会のお作法まで……その部署で培われた全てが「当たり前」になっていた。当たり前の日常。

異動によって、その「当たり前」は丸ごと変化を必要とされた。

勤務先が変わり、身体的に慣れるのに時間がかかったのはもちろん(お昼ごはんの作法すら前の部署とは違っていた)。

それまではマルチタスクで仕事をこなしていたし、基本的に誰かに仕事を振ってやってもらうことも少なかったから、全て自分中心で動いていた。
前の部署は業務に対して人員が明らかに少なく、だからこそ一人一人の裁量が大きかった。若手でも、自分がやりやすいようにやればそれで良かった。
ひとつひとつのクオリティを高めることよりも、困難案件を何とか形にすることが求められた。
中小企業やベンチャー企業のようなものだったのかもしれない。

しかし、今度の部署はそうではなかった。
潤沢な人員。しっかりとした組織体制。
そして、何代にも渡ってブラッシュアップされた業務内容、手続き。

今までと同じように仕事をしていると、先輩から苦笑される。

「チェックくらいはやるからね。声をかけてね」

最初は気を遣ってくれているのかと思ったけれど、そうではないんですよね。
そうか、この部署ではすべての仕事はダブルチェックが当たり前。
ダブルチェックをしてもらいなさいよ、ということだったのか。
チェック込みで仕事を進める必要があるのかと気付いたのは、最近のことだと思う。

単純作業とは、自分でやるものではなく、人にお願いしてやってもらうべきものであること。
業務は平準化すべきこと。
必要無いことはやらないこと。
効率こそが、重視すべきものであること。

そうか、私の今までの仕事のやり方は、物凄く、恐らく本当に物凄く雑だったのだ。
チェックをしている時間も人員もいなかった。
業務は高止まりで平準化していたし、それを効率化する勇気を誰も持ってはいなかった。
あれは仕事だったのか?クオリティよりも実現性。あれを仕事と呼んで良かったのか?
改めて、心の底から思い知らされた。

だから、今の部署の人たちが持っている視点が全然足りていないなと、しょっちゅう落ち込んでいる。
ひとつひとつ丁寧にやることや、細かなところまでチェックすることも本当に苦手。
先輩、上司にチェックをお願いすると必ず細かいケアレスミスを指摘される。
自分の仕事の仕方が、正しく無いのだ。そしてそれを思い知らされるのが、かなりキツい。業務内容が単純でも、自分が「間違っている」、そこまではいかなくても「正しく無い」ことを日々思い知らされるのは、精神的に疲労が溜まる。
毎日完璧からは程遠く、果たして自分は今まで何をしてきたんだろう?と満身創痍になりながら帰宅することもしばしば。
本当に私は自分のことしか見えてないなぁ、それも物凄く狭い視野しか持ち合わせてはいないのだ……と情けなくなる。

何よりも。それなのに新規事業を任せてもらえた、という事実に申し訳無くなる。
冗談でも、上司から「絶対にあなたしか適任はいないって言ってたのになー。おかしいなー」と、本当に明らかに冗談の文脈で言われたとしても、死ぬほど落ち込む。
なんで、私がこの担当なの……
こんなにしょうもないことで今日も間違ってるし、それで係長は明らかにイライラしてるし声上ずってるし、最近ミスが多いからか、係長の確認がスケジュール、メール、電話、どれひとつ取ってもめちゃくちゃ細かいし。
それなのに、なんで私が、部署で「今年の目玉」と言われるような事業の担当なのか……

私にできることが分からない。
異動に当たって何を評価してもらったのか、よく分からない。
集中力、と言われたことがある。
でもそんなの所詮、この程度だ。
集中してやっても、書類ひとつ完璧に作れない。抜け漏れだらけで、何回も突き返される程度。
クソ細かい係長の半分も、気が付くことができて無い。
勢いで仕事ができても、丁寧で正確な仕事はまだまだ出来ないのだ。
でもそれって果たして……正しいのだろうか?
少なくとも、仕事としてあるべき姿では無いだろうと思う。

この部署で、私にできることを増やしたい。私にできることを見つけたい。
そう思いながら、4か月を過ごしてきた。
私自身が、この事業を担当させてもらえたことの理由を見つけたい。
私は、今の業務が凄く好きだ。
前の業務もとても意義ある、恵まれた仕事だったと思うけど、でも今の業務はもっと恵まれていると思う。
新規事業の立ち上げという前向きで、ワクワクする仕事。しかも夢がある。
全社を見渡して、こんなに前向きな仕事がどれほどあるだろう?
だから、凄く凄く感謝している。
この事業に、私を選んでくれたことを。

だからこそ、私は自分にできることを少しでも増やして、この仕事に恩返しをしたい。
私を選んでくれたこの仕事に、選んだのが私で良かったと、そう思ってもらえるように。

そんな思いを抱きながら、昨日本社で飲み会だった。
新規事業に関係する社員たちと話が出来るまたとない機会ということで、上司には「別に行かなくて良いよ」と言われながらも、一応いってみるか、と半ば義務的に顔を出してきた。のだけど。

それが……実は、超面白かった。

私が普段相手にしているけど、なかなか直接お話をする機会がない社員さんたち。
直接お話をすることで分かることはたくさんあったし、ぐっと距離が縮まったような気もして。

そうだ、私は前もこうして仕事を進めていたんだ、と思い出した。

知識も経験も上司に劣るのは当然で、その中で私は何を武器にしたら良いだろう。
これは実は、前の部署でも結構長いこと悩みのタネだった。
私にできること。私で良かったと言ってもらえる何か。

前の部署で出したひとつの答えが、「行動」だった。
何かひとつでも、上司たちが知らないような生の情報を持っておくこと。
相手の懐に飛び込んでいくこと。相手のことを知ろうとする気持ち。
そのためには、自分の時間もお金も惜しまなかった。
相手の仕事を調べ、現地を見学に行き、時には300キロも離れた相手に、「明日ご挨拶に伺わせて下さい!」とメールを出して、夏休みを突然取って遊びに行き……
そうやって、足で稼いだ情報を、言葉足らずでも相手に伝えると、

これが、相手に伝わるのだ。
喜んでもらえるのだ。
そしてそういう情報は、すぐに相手のコミュニティに派生していく。
あいつは、わざわざこっちに、プライベートで遊びに来たらしいぞ、と。
そして、それを知った相手は心を開いてくれるのだ。
次に会ったときに言ってくれる。
今度こっちに来るときは、連絡をくれてら良い。平日でも休日でも、現地を案内するから。


まだまだ私は丁寧で正確な仕事ができない。
もっともっと気を付ける。こうして日記に残すのは、ミスしたことを忘れないため。
でも恐らく、このせっかちな性格のこと。いつまでもなかなか100点は出せないと思う。
これは私の弱みであっても、強みにはなり得ない部分だと思う。
いつまでも、100点を目指す気持ちを忘れず、何とか及第点を取っていく。
それが精一杯の対応だろう。

でも、足で稼ぐことはいつでもできる。
私は足を使うことが好きだ。
コミュ力が無いから、話をするなら顔を合わせる方が良い。
呼びつけるのは上から目線が過ぎるから、出来れば会いに行くのが良い。
仕事で価値観を共有する人に会いに行くのも大好きだ。
仕事をしていてこんなに楽しいことは無いと思う。むしろ、仕事をする意義は、これしか無いと思う。

だから私に今、できることがあるとしたらこれなのだ。

足を使って顔を覚えてもらうこと。
事業に関係する社員たちから、一年間、いや残り8か月間をともにする社員たちから、「あの業務と言えばこの人」として覚えてもらうこと。
何かあったら声をかけてもらうこと。
そういう信頼関係を、自分から飛び込んでいって築くこと。

そういう仕事を、私は今までしてきたんじゃないか。
愚直に、真面目に、足を使ってそういう調整をする上司を見て、私はこの人みたいになりたいと思ったんじゃないか。

少しでも、今の私にできることをやろう。
その機会は惜しまない。
次のその機会は夏休みの予定だったけど……ここで取る夏休み、そんなに大事か?

まずは……社員さんたちと共通の話題を築くため、今日はとある本を買って帰ることにしようと思う。